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「戦艦大和誕生」を読んで

タイトルを見ると、戦記物、兵器自慢の本に見えなくもありませんが、この本はこれだけ大きな戦艦をどのようにして作ったかを、当時35歳の造船少佐に焦点を当てながら紹介している本です。

この本を読んで初めて知ったのですが、戦艦大和と同型艦の武蔵、工数が随分違っていたことはご存知だったでしょうか?

戦艦大和は呉の海軍工廠、戦艦武蔵は長崎の三菱重工でそれぞれ作られました。通常であれば親方日の丸の呉工廠の方が高く出来そうなものですが、なんと大和は武蔵の半分くらいの工数で出来上がったそうで、三菱重工は契約するまで散々金額を叩かれたと思ったのに、その半分だと知って驚愕したそうです。

それを見事に成し遂げたのが35歳の造船少佐、西島亮二さんでした。海軍の造船官や工員たちの間では、「軍艦作りの名人」「海軍造船に西島あり」「艦艇の現物製造にかけては右に出る者がない」などと言われていたそうで、海軍始まって以来の大事業であった大和の船殻主任に抜擢されて、その任に当たりました。

彼はその前から、受注生産品のような艦艇の製造でいかに合理化を図るかに注力していて、部品・金物の共通化、「西島カーブ」と呼ばれた効率化を図るための工数管理といったことから、ブロック建造法や先行艤装、リベット工法から電気溶接法といった具合に、戦後の日本のモノ作りの基礎となったような数々のことを考案していたのです。戦後呉海軍工廠はIHIに移管されますが、それから暫くして呉の生産管理を電算化システムにしようとした時、西島氏が残した大和の生産管理システムは、ほとんど変更しないでそのまま電算化できたので、大和建造のシステムはいかにすぐれていたか、関係者は非常に驚いたそうです。

この本の読み方は色々とあると思いますが、自分は住宅を主とする工務店の仕事をしているので、「多種少量個別受注製品の生産管理理論」として読んでいました。もちろんそのまま住宅建設に当てはまるものではありませんが、少なくともいい刺激にはなりました。

「戦艦大和」と言えば図体ばかりでかくて、大艦巨砲主義の遺物としてあまり評判も良くなく、零戦と比べてもどのようにして作ったかは余り取り上げられていませんでしたが、こうしてみるとあの当時の日本の工業力でよくぞここまで作ったものだと感心させられます。それと共に、ここで色々と知恵を絞ったことが戦後の復興にまで繋がると思うと、歴史の不思議さを感じさせられます。

なかなか読むと吸い込まれるような魅力を持った本ですので、もし生産管理にご興味のある方がいらっしゃれば、是非ご一読されることをお勧めします。

それにしても当時の西島少佐は35歳。この年齢にしてこういったことを考えだし、またその段階ですでに多くの人の信頼を勝ち得ていたかと思うと、自分のだらしなさを思い知らされます。もっともっと仕事に対して没頭しないといけないですね・・・。


なんて思いながら、明日の神宮にどうやって行こうかとも考えているのですが(^^ゞ

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

http://homepage2.nifty.com/Tetsutaro/Writer/M/M063.html
私自身
海外企画と生産技術企画を主なフィールドにしていた者として

次の勉強会のテーマです。

アップルの天才は日本人の技術者も知らない日本の中小企業の技術マップを
常に更新していてその知恵を使っていたそうです。

開成で秋山真之に英語を教えていたことでも知られる高橋是清が日銀総裁になった出発点は日銀の事務主任として日銀の現場に入ったときです。工事の遅れに自ら工事主任となり生産管理を行いこれが認められ臨時雇いから正規に日銀に入りました。某国立大学で若い学生に「建築と生産管理」を話した時に歴史事例として取り上げたことを思い出します。

文武両道さん

コメントありがとうございます。

人が複数関わり、それを束ね、成果を出そうとする試みは、全てどこからしら通じるものがありますよね。

この大和の話しもまさにそうでした。戦国武将で土木・城作りの名人が多いのもわかる気がします。

生産管理、常に大きな課題として自分の頭の中にもあります。

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