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【多事争論】放射線量が下がり、そして日本は・・・

東日本大震災から1週間が経過しました。

被災地、福島原子力発電所、計画停電地域など各所で、献身的な努力・譲り合いの精神が発揮されている報道を見ていると、同じ日本人として誇りに思います。

心配していた福島原子力発電所もまだまだ予断を許さないとは言え、周辺を含む放射線量は一頃よりは下がってきています。

http://www.tepco.co.jp/nu/monitoring/index-j.html

http://www.houshasen-pref-ibaraki.jp/present/result01.html

http://www.atom.pref.kanagawa.jp/cgi-bin2/telemeter_map.cgi?Area=all&Type=WL

http://www.kankyo-hoshano.go.jp/real-data/servlet/area_in?areacode=1

一時期はどこもこの数値より遙かに大きい数字が出ていました。これが漸減の傾向にあるので、今のところ新たな爆発的事象や漏出という事態にはなっていないのだと思います。これは一にも二にも現場で文字通り命がけで作業に取り組んでくれている多くの人たちのおかげだと思います。委ねられた大きな期待に応えようとする人たちの尊い気持ちは賞賛しきれないほどだと思います。

ただ、まだ電源復旧→緊急冷却装置の再稼働という、持続的改善には至っていないので、まだまだ予断を許さない状況であることには変わりないですね。引き続き、日本の幸運を祈るしかないですね。


さて、震災のショックからようやく頭も普通に回り出してきているところで、いろいろな批判や問題点が提起されてきています。

佐々さんの言った「Crisis ManagementではなくManagement Crisisだ」という言葉は言い得て妙だと思いましたが、今は方々で最善を尽くそうと努力をしているものの、それが統合した形で動くというようになっていないというところが問題点のように感じます。戦争に例えてみると、広範囲における大規模戦闘が突如開始され、参謀本部は大混乱。個別戦闘地域に注意が払われ、他方面での注意が散漫。さらに各現地軍の司令官が誰かも明確になっておらず、そこに与えられている権限も不明確という中、個別の戦闘で兵隊が奮闘しているといった具合でしょうか。

どこかで聞いた光景だと思ったら、太平洋戦争末期のソ連侵攻に似ているように感じます。

また、報道も最近読んだ「太平洋戦争と新聞」で読んだような光景、すなわち悲劇的な状況、英雄譚、各社が競って展開する募金。昨日の8日ぶり発見の報道も、そういった感動的なニュースの収集を中央から指示されていたばかりに起こった勇み足のように感じます。

また、首都圏で起こっている種々の買い占め騒動は、オイルショックの頃を彷彿とさせます。

つまり、危機状況下において取る行動とは、時代の差なく大体同じようなことになるのだと思います。だからこそ、歴史、特に近現代史を知っておくことは大変重要なことだと思うのです。

よく小馬鹿にしたように言われる「大本営発表」もただ彼らが無能であったり、不誠実であったから行われたものではなく、彼らなりに拘った要件、つまり国民の士気であったり情報不足であったり責任問題であったりしたわけで、当時の彼らを嗤うのではなく、どうしてそうせざるを得なくなったのか、どうすればもっと有用な形になるかを考えることこそが大事だと考えます。

だからこそ、今の政府の情報公開不足や混乱を批判・批難もいいのですが、それより「今、こうすべきだ」という意見を開陳する方が有効だと思います。ここにこそ、政治家の出番があるのだと思うのですが。

私は専門家でもなんでもないので、子供じみたことしか考えられませんが、兎にも角にも今必要なのは、大方針、中方針、小方針の確立と、判断の速さが求められる事態では適切な権限委譲が行われるべきだと考えます。

まず短期的には、一番大きな課題は「混乱の収束」。これに尽きると思います。

この「混乱」には思いつくだけで挙げてみると、「原子力発電所被災における、放射能被害の防止」「被災地における、必要最低限の生活環境の確立」「日本全国の物流の混乱の収束」「各支援表明国の支援内容の整理と、その効果的な活用」「被災していない地域の混乱の収束」「市場の混乱の収束」「情報開示の混乱の収束」 といったところでしょうか。

(ちょっと小さく批判しますが、市場の混乱に対する無策さは上記の中でも際立っていました。変節したといろいろ批難を受けたY大臣はこの急激な円高に対し、道義的なことを口にする始末。私がY大臣を評価しないと言った理由がここにあります。)

そうしたらその問題の解決をする長を早急に任命する。そして、各課題に対して、人・モノ・カネの算段、およびその運用を今ある優秀な官僚組織をフル稼働させて、1日で立案させる。

その上で、それを調整する統合会議を総理直轄で行う。本当はこれは閣議の仕事のような気もしますが、それに機能しない人々がいるというのであれば、実質重視の会議形式にする。

そして、その方針に従って迅速な行動を取り、その達成状況を定期的に報告し、中央で各部署の調整を図る。

こういったことが必要だと考えます。責任を分担してどうこうではなく、責任の所在を明確化し、目標および必達事項を明確化して、連動的な動きを図る、これが大事だと思います。

日本は戦後、実はもともとそちらの方が性に合っていると思われる並列的な組織を良しとしてきました。平時には各意見を集められる利点がありますが、非常時には意見の集約に時間がかかり、効果的な対応が取れない弱点が目立っています。非常時には垂直的組織の構築も必要だと、認識した方が良いと思うのです。


そして、その混乱が収束の兆しを見せたと同時に中長期的計画、すなわち「日本復興計画」の実施だと思います。

原典を忘れたのでうろ覚えですが、関東大震災の後、後藤新平が「帝都を復旧するのではない。これを好機に復興するのだ!」力強く宣言したと何かで読んでような記憶があります。今日本に漂っていた閉塞感を打ち破るきっかけとして、この大震災の教訓をいかし、より力強い日本の復興を目指すべきです。

そういったことを軸に大連立を組む!と言ってくれれば、お互いに良かったのですが。今回のちょっとした連立騒動、「責任を分担してほしい」と言った日本の最高責任者もそうですし、「共同責任を負わせようとしているのか」と言った野党第一党の総裁もそうですが、もっと党の利害を越えて、日本のために何かしませんか?「私が責任は取るので、どうか貴党の優秀な人材・豊富な経験をこの国難に役立たせていただきたい」「浅学非才ではありますが、この身が日本のためとなるのであれば、よろこんで泥をかぶりましょう」みたいな会話を本当はしてほしかったなあ・・・。

今一番大事なこと、それは大きなグランドデザインです。そのために与党だ野党だ言わず、この「お国のため」に何が出来るか、それのみに集中して自らの見識を示して貰いたいと思います。これだけ良識ある人々がいるにも関わらず、今のままではもったいなさすぎます・・・。

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多事争論」カテゴリの記事

コメント

管理人です。

自己レスですが、11時よりちょっと前にちょっとした爆発的事象、ないしは漏出があったようですね。茨城県のモニターが軒並み触れています。

まだまだ、収束というわけには行かなそうです。先ほど流れた第3号機の話しと関連性がありそうですね。

朝日も後藤新平を
管理人さんと全く同じ論旨で論じています。

テレビは未だに回心していませんが、
新聞はまともになってきたようです。

自民党もこの時点で政局で動くようでは、
政治家は不要です。

いっそ今度の総選挙では裁判官並みに
不信任投票したいくらいです。

いつもながらの健筆に脱帽。

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2011/03/20/kiji/K20110320000462490.html

多くの巨人フアンから原監督が気の毒という声。
江川、桑田、澤村・・・
ドラフト破りから電力問題まで、
いい加減にせよ。

川上、長嶋、王と続く「球界の紳士たれ」
が泣く。

地震、津波、原発事故、更に急激な円高。一つだけでも右往左往するのがなんと四つも。悪夢という表現がこれほどピッタリくる現象は記憶にありません。が視点を変えれば、震災当日の管理人さんの記事ではないですが「日本人の底力」を示す絶好の時代に今いるように思えます。実際世界各国の報道内容も、著名な個人の英雄的な行為ではなく日本民族ならではの情緒と行動に光を当てています。後藤新平、同感です。できれば福澤精神も付け加えていただきたいですね。話は変わりますが、私としては高野連の奥島会長に拍手を贈りたいのですが・・・。

kktfさん、上田監督、そして管理人様のコメント、お言葉をみて日曜から彼らのプレーをより強い気持ちをもって見に行けそうです。昨秋、神宮大会で浦学の対戦相手として戦った彼ら。その時はもちろん見てました。きっと、被災しながらもボランティアとして毎日していた行動が報われますように。そして、被災されている方々に勇気を与えられますように。

某酒屋さんのホームページをしていたら、、、

http://sasapanda.net/archives/1655

途中まで読んで・・・やった!
最後に・・・がっかり!

肝臓がダメになってノンアルコールなので・・・

Delays are dangerous. (諺)

原発の事故処理は、時間の経過と共に放射線物質による汚染が広がり、事態を悪くします。事故の重大性を隠しながらの初動の鈍さが大いに惜しまれます。


 放射線医療に就いては、資料としては、広島、長崎での調査資料、チェルノヴィルの膨大な資料、そして米軍が保有する被曝兵士の資料と、病気診断や治療の際に付随的に得られる資料等がありますが、被曝者と被曝自体の条件のバラツキが多く、安全の範囲と言われれば、安全の平均値から3シグマ離れた程度の可成り安全な値が示されていいます。

今、東京とその近郊の水道水の放射線量が一時期より減っている間に、お風呂を綺麗に洗い飲料水を溜めておいた方が良いでしょう!その代わりシャワーになります。

 

文武両道さん

コメントありがとうございます。

政治家たちはどこに行ってしまったんだろうというような状況がしばらく続いていましたね。岩手を地盤とする大政治家はいったいどれくらい岩手の人を励ますことが出来たのでしょうか?

多分、これをも政局にしようとしているのではなく、何をすればいいのか正直わからないでいるんでしょう。そういえば「日本はなぜ戦争に〜」の第4回目の記事をまだ書いていなかったことに気づきました。この回で描かれていた日本の指導層とそっくりな部分がありますね。これもまた日本人の特性なんでしょう。

また原発では初動の遅れがかなり響いてしまっていますね。この事態に至っては「拙速を尊ぶ」とも言いづらい状況です。各国との協調の元、なんとか収束させてほしいものです。

kktfさん

コメントありがとうございます。

まったくもって悪夢としか表現しようのない状況となりましたね。あれが起こったと思ったら今度はこっちが!みたいな感じで連続していろいろなことが起こるので、ただただ呆然としてしまうばかりでした。

慶應讃歌の1番の歌詞は戦後復興に向かう若人の心意気を歌ったものだと聞いています。若いかどうかは別にして、理想の国を打ち立てられるように前を向いて頑張って行きたいと思いますね。

甲子園、確かに人々を勇気づけていました!

黄色と黒は勇気のしるし♪さん

コメントありがとうございます。

「被災しながらもボランティアとして毎日していた行動が報われますように。そして、被災されている方々に勇気を与えられますように。」

結果は負けてしまったものの、彼らの行動は報われていたと思いますし、勇気もしっかりと与えられていたと思います。そう、彼らが精一杯あれからの時を過ごしているからこそ、報われるし、勇気も与えられているのだと思います。本当に尊いことですね。

ビールの話し、本当っすか

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