インコースの打ち方 -立浪選手の場合 を少々ご紹介
実は違う本のご紹介をしようかと考えていたのですが、スーパーOBとして名高いMassyさんからありがたいコメントを頂戴したので、急遽趣向を変えてみました。
ネタ本はこちらです。まさに野球好きしか読まないだろうなあという本です。
この本の中で、「立浪和義 後進バットマンに捧げる打撃理論」という特集があり、その中で「インハイのストレートを上から叩き、鮮やかなライナーで弾き返すバッターだった」立浪さんがインコースの打ち方について語ります。ちょっとご紹介しますと、
何人かのバッターから打席では最も難しいとされるインハイのストレートに意識を置いているという話しを聞いていたが、立浪の待ち方は?「僕はホームランバッターじゃないので、特にチャンスの打席で最悪なのが三振。だからなんとかバットに当てようという気持ちで、相手が左で追い込まれたら外のスライダー、右ならフォーク系か、内角のスライダーを待っていました。それも、外のスライダーやフォークを頭に置きながら、内角にズバッとこられたらファウルにする。この技術を身に付けたことが大きかったんです。」
「ここ」とバットを止めたのは、打ちにいきながらの体近くの正面、やや高めのコース。普通なら振り遅れの手元の位置だ。そこでバットに当ててファウルする技術を身に付けた。
「”ここ”でファウルにできるということは、他のボールもそれだけ長く見られる。追い込まれることが怖くなくなりましたね。」
「追い込まれる前は自分のある程度読んだボール、甘いボールを待って、チャンスや追い込まれた時には意識としては逆方向で変化球を頭に置きながら内角のストレートはカット。そういう待ち方が頭で整理できていました。」
ファウルの打ち方を一つ覚えることでバッティングは大きく変わっていくのだ。「深い・・・」。聞き入っていると、立浪は「そうそう」という感じで、「内角の打ち方教えてあげましょうか?」と言って立ち上がった。
まあ、これ以上書くと営業妨害になってしまうので、後は直接この本を読んでいただくのがいいと思います。
それにしても、ファウルの打ち方を覚えること、懐の取り方(あっ、言っちゃった)を掴むことで、インコースが得意コースになってしまうんですね。立浪さんはこう言っています。
「体に当たる寸前のところまで捌ける自信があった」
すごい言葉ですね!
あと、立浪さんのバッティングで印象的なのが、「打ってからバットを戻す」という形。これも立浪さんが解説してくれています。
「ステップして割れたところでこっちサイド(右)にねじれができるんです。このねじれがないと、右の面がピッチャー方向へすぐ向いてしまって体がほどけてしまう。だからできるだけ”ここ”で我慢して壁を作る”これ”があるから、ヘッドが走って、僕みたいな小さな体でも飛ばすことができるし、振り終わったあとに体が戻るんです。消しゴムをねじったら戻るでしょ?ぶるって。ああいうことが体で起きてるんです。だから手に持ったバットも戻る」実は今月のフルタの方程式で、元ヤクルトの杉浦さんも同じ事を言っていたのです!!
この割れを保てるかどうかが、自分の間合いを作れるかの瀬戸際らしく、良いバッターを見分ける一つの基準と為るそうです。今度球場で打者を見る時、前足をついた時にどれだけタメができているかを見るのも一つの楽しみとなりますよ。
さすが歴代7位の2480安打、日本記録となっている487本の二塁打を放ったバッターです。一つ一つの話しがとても興味深かったです。
その他にも小宮山さんの話だったり、佐藤義則さんに聞く投手育成の道だったり、本当に面白いお話しばかりです。後は敢えてその人に聞く「俺に訊くな!」という企画で、衣笠さんに三振をしない方法を訊いたり、今中さんにフォークの使い方を訊いたりと、クスッと笑える企画もあります。本当に野球好きのための雑誌ですね。ちょっとお値段高めですが、十分にその価値はあるのではないでしょうか?
« ちょっと嬉しかったこと | トップページ | 昭和史を読みながら感じる既視感 »
「野球」カテゴリの記事
- 平成28年春季東京六大学野球 対法政大2回戦(2016.04.10)
- H27秋季東京六大学野球 慶早野球試合2回戦(2015.11.01)
- H27秋季東京六大学野球 慶早戦1回戦(2015.10.31)
- H27秋季東京六大学野球 対明治大3回戦(2015.10.19)
- H27秋季東京六大学野球 対東京大1回戦(2015.10.03)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
江藤さんの世代が入学する前の練習会。
中日の投打の柱となった木全、板東も参加。
ふたりは大学生に交じって活躍。
たまたま見に来ていた衆樹が
打席に立って、右打ちの極意を伝授したとか・・
すごいレベルの時代だった・・・
右打ちといえば、
山内のシュート打ち。
投稿: 文武両道 | 2010年1月31日 (日曜日) 23:30
ちなみに今月(0時をマワッタノデ)は2回発売があります。。。センバツに向けて節約したいのは山々ですが。。。恐らく各センバツ決定号もでるだろうし)
3月にはグランドスラムも…今年から買う方も結構いらっしゃるかも!(社会人の選手名鑑特集ですから)
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 1日 (月曜日) 00:12
五日・ホームラン増刊 六日・甲子園の★&報知高校野球 七日・中学野球小僧 十二日・ベースボールマガジン増刊 十七日・高校野球野球小僧
三月五日 ホームラン4+5月号かな…
グランドスラムは4月だったかも(汗)
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 1日 (月曜日) 00:55
内角を右打ちは落合、
内角をレフトのラインに入れるのが山内。
右打ちではありませんでした。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 1日 (月曜日) 01:01
愛読誌でーす。同じ記事を興味深く読みましたよ。
立浪のバッティング話は殆ど聞いたことがなかったのでビックリ!
かつてあった野村スコープ攻め方課題で毎号投稿を重ねてましたけど連続次点止まりでした。懐かしい〜(前にもそんな話してたような?)
投稿: げんき | 2010年2月 1日 (月曜日) 23:25
文武両道さん
コメントありがとうございます。
さて、山内さんの内角打ちは名人芸の域だったそうですね。もっとも後年かっぱえびせんとして知られる彼も現役時代はその極意は教えず、野村さんがオールスターの時に聞いても「練習していれば、そのうち打てるよ」と素っ気ない答えだったそうですね。その後、野村さんも極意をつかみよく内角球をレフトスタンドに放り込んでいたそうですから、さすがですね。
その当時の塾野球部、やはり日本全国の注目を集めていただけの存在だったんですね。
投稿: 管理人 | 2010年2月 2日 (火曜日) 22:46
黄色と黒は勇気のしるし♪さん
コメントありがとうございます。
そうなんですよね、野球の雑誌を買ったり、単行本を買ったりしていると、どんどん財布が軽くなってしまいます。でも最初は買う気がなくても、駆け引きの妙や技術の奥深さを書いてあるような本を手に取ると、買ってしまうんです
投稿: 管理人 | 2010年2月 2日 (火曜日) 22:48
げんきさん
コメントありがとうございます。
実は自分がこの雑誌を読むようになったのは、去年からと言う新参者です。野村スコープ企画、一度参加してみたかったなあ~。
投稿: 管理人 | 2010年2月 2日 (火曜日) 22:49
BIG6のHPに
http://www.big6.gr.jp/special/2010captain.html
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 4日 (木曜日) 13:28
これも
http://www.big6.gr.jp/game/preseason/2010spring_preseason.html
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 4日 (木曜日) 13:35
埼玉ではこれがあります
http://rokkououendanrenmei.web.fc2.com/
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 4日 (木曜日) 13:42
さてようやく掲示板にも菊池君が
紹介されましたが・・・
白村、菊池以外にも
140キロ投手が目白押し。
監督は横一線と言っていますが・・・
「いない」のではなくて
「いすぎて」贅沢な悩み。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 5日 (金曜日) 13:57
春のオープン戦、
東都の強豪校と同じ日にAB戦が
後半日程で組まれています。
おそらくABに実力差はなく、
初戦のベンチ入りまで
熾烈な競争になるでしょう。
甲子園で活躍した1年生
甲子園は阻まれたものの
地方大会で甲子園常連校に勝った1年生、
総勢35人から何人か
ベンチ入りするでしょう。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 5日 (金曜日) 14:53
入学予定部員の情報、エピソード
入っていますが、菊池君のみ紹介。
(既にスポーツ紙に名前が出ましたので)
雄星君とは中学時代から親友。
2人とも学力優秀で、投手としてライバル。
金田一京助、石川啄木を輩出した
岩手県随一の名門、盛岡一高に進学し
全国制覇するものと、
盛岡一高OBは期待していた。
因みに雄星君の兄は盛岡一高から
国立大医学部。
決勝は7回まで1対0で盛岡一リード。
その後、エラーで1対2で逆転され、
菊池君は甲子園に届かず・・・
投稿: 文武両道 | 2010年2月 5日 (金曜日) 15:31
岩手県の甲子園出場チームで
2勝を挙げたのが
盛岡三高の小綿投手。
慶應で竹内助監督と2本柱。
雄星君は、小綿投手以来の
岩手県チームの白星。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 5日 (金曜日) 19:50
オープン戦、見に行きたいのは山々ですが、優先事項がありますので…
※多くの方は会社をどうやって休むかが悩みか
投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 5日 (金曜日) 23:00
3月第二日曜は見に行きたいなぁ…なんせあのお二方がいますからねー


投稿: 黄色と黒は勇気のしるし♪ | 2010年2月 5日 (金曜日) 23:02
投手について心配なし。
打者のほうも、
現2年生以上でも相当、層が厚いのに
それに力のある1年生が入る。
しかも投手はみんな4番を打っていたから、
打者としても一流。
3、4年は相当頑張らないと・・・
これがいい刺激になる。
早稲田OBは、
はやくも早稲田以上の戦力と評価。
今年はラグビー部に負けない補強。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 5日 (金曜日) 23:59
補強といっても
集めたのではなく
集まってきた文武両道の1年。
投稿: 文武両道 | 2010年2月 6日 (土曜日) 00:01
黄色と黒は勇気のしるし♪さん
コメントありがとうございます。
さて、いろいろな情報ありがとうございます。神宮関係ではいろいろな情報が出てきますね。オープン戦も社会人相手のオープン戦も決まり、期待が高まる一方です。
とは言え、黄色と黒は勇気のしるし♪さんにとっては今はまだ関東ではなく、阪神地方こそ胸が高鳴る場所でしょうから、まずは存分に楽しんできてくださいね。個人的には一二三君ではない、誰かスターが出てきそうな気がしているのですが。
3月の第二日曜日、行きたいですね~。仕事が入ってこないことを切に祈って止みません。
投稿: 管理人 | 2010年2月11日 (木曜日) 13:46
文武両道さん
コメントありがとうございます。
さて、本当にいろいろと楽しみな情報が入ってきました。
1)すごい素質を持っているらしい新一年生軍団
2)とても明るく、でも大変厳しい下田の様子
う~ん、下田にも行ってみたい気がします。
選手はまずはぱっと見たときの雰囲気が大事なような気がします。そういった雰囲気を持った選手を早く見に行きたいですね!
「補強といっても、集めたのではなく集まってきた」
とってもいい言葉ですね!
投稿: 管理人 | 2010年2月11日 (木曜日) 13:49
「甲子園は阻まれたものの
地方大会で甲子園常連校に勝った1年生」
このとき明徳義塾をやぶった山形君のことを言っていたのですが、
見事、神宮デビュー1年生となりました。
投稿: 文武両道 | 2010年5月25日 (火曜日) 06:57
佐藤君が内角を引っ張って先制2塁打!
日本シリーズでも右打ちで大活躍した佐藤君。
相手投手は徹底的に内角をつく。
佐藤君、ガラ空きのサードにひっぱる!
状況に応じたバッティング、
凄いですね。
これから始まる塾高、大学、
先輩のバッティングから学べ!
投稿: 文武両道 | 2010年9月 3日 (金曜日) 05:40
文武両道さん
コメントありがとうございます。
以前WBCを見に行った時に思ったのですが、一流打者は打席に入る前に必ず相手の守備位置を確認しています。王さんみたいな考え方もありますが、やはり確率論から言えば薄いところを狙うのが常道。そういった意味でも視野の広さは必要ですね。
投稿: 管理人 | 2010年9月 4日 (土曜日) 23:29
このブログに刺激を受けて、観戦するときはバッターボックスの選手だけではなく、守備位置、一塁コーチ、三塁コーチにもなるべく目を配るようにしています。
でも選手ではないので、彼らがそういう行動に出る理由が自分にはわからないこともしばしば。
管理人さんのブログで時々解説をして下さることがあり、とても助かっております。
投稿: フレフレ少女 | 2010年9月 5日 (日曜日) 00:10
フレフレ少女さん
コメントありがとうございます。
そう言って頂けると大変嬉しいのですが、あくまで素人なので間違えていたらごめんなさい。
でも野球って見るところがたくさんあるように思うんですよね。そうすると必然的にテレビで見るより、グランドで見る方がよっぽど面白いということになります。やっぱり直接プレーの熱気や試合の流れを感じる場所の方がいいですよね

そんな訳で明日の等々力は行けそうなので嬉しいです
投稿: 管理人 | 2010年9月 5日 (日曜日) 00:45
去年より更に高まる期待!
いよいよ2月!
去年はスポーツ紙に菊池君の
ランニング姿が紹介されましたが・・・
各紙のチェック、
また黄色さんのご紹介記事が楽しみに!
投稿: 文武両道 | 2011年1月31日 (月曜日) 18:31
オープン戦の対戦相手を見てビックリ
社会人の強豪が殆ど、
数少ない大学も東洋大など強豪のみ。
残念なのは、遠征も含め
A軍の試合は慶大グランドでは
これまでのように多く組まれていないこと。
相手も今年の慶大の強さを知っているからこそ、
組んでくれたのだと思います。
投稿: 文武両道 | 2011年2月 1日 (火曜日) 13:57
そうですよね。
速球待ってたら、前に突っ込んじゃって変化球なんか対応できませんからね。
スローボールを待ってても、速球が来たらカットで逃げれますからね。
だから、常に変化球・スローボールに照準を合わせるべきなんですな。
同じ理屈で、インコース狙ってると腰と肩が回っちゃってアウトコースなんて対応できませんからね。
アウトコースを狙ってても、インコースは根元(グリップ近く)にコツンとかすれさせれば、カットでつなぐことができます。
だから、インコースではなくアウトコースを狙ってるべきです。
また、高めを狙ってると、低めに来たとき目が追いつきません。
しかし、低めを狙って目線を下げておくと、高めに来ても自然に目が対応できます。
したがって、高めではなく低めの球を狙うようにすべきです。
以上の3次元を組み合わせますと
アウトコース低めの緩い変化球に照準を絞って打席に立てば
最悪、インコース高めの剛速球でもファウルで対応可能です。
うまく反応できれば、そのままヒット・ホームランに持って行くことも可能です。一般的に言って、一番飛距離が出るのはインハイのストレートをジャストミートできたときですから。
しかし、逆は成り立ちませんね。
バッターは、アウトローのスローボールを狙いつつ、インハイの速球をカットできる反射神経を身につければ
アベレージを残すことができると思います。
そのためには、第一にアウトローを確実にヒットできるようになるべきですね。
まずはそこからですな。
投稿: ばしくし | 2014年5月12日 (月曜日) 02:05
藤本君は変化球を待っていて狙い通りに打った、と言っていましたが、
藤本君も横尾君もワンバウンドするような低めの変化球を
空振り三振が目立ちますが、変化球が高めに浮くと長打。
法政戦は変化球が甘いところを長打したのでしょうか。
江藤さんはちなみに打者は速球に対応すること
投手は速球で打ち取ることが基本。
打者の変化球への対応、投手の変化球の駆使はその基本ができてから
とのこと
投稿: 文武 | 2014年5月12日 (月曜日) 15:52