平成21年春季リーグ東京六大学野球 対立教大 一回戦 観戦記
いよいよ始まりました、六大学野球。
うーん、何とも言えない試合ですね・・・。
まずは相場監督のノックです。
そしていよいよ試合開始。
中林くんの立ち上がり、結構良かったのです。フォームもより安定感を増しました。
しかし、1死を取った後2番の中山くんにヒットを打たれて、すかさず盗塁されます。
このとき、走られる前はただのセットポジションで投球動作に入ってから捕手が捕球するまで1.7-1.9秒ほどかかっていたのですが、走られたときは1.19秒と素早いクイックを披露しました。が、それから後の送球のスピードの問題もあり、走られてしまいます。そして気落ちした部分も多少あったのでしょうか。4番の藤田くんにいきなり先制のタイムリーを打たれてしまいます。
その後崩れないのが中林君。イニング間のキャッチボールでは、自分に言い聞かせるかのように丁寧にこなしていたのが印象的です。
また、守備もしっかりと守ります。これはボテボテのゴロを淵上君がダッシュよく捕球して1塁で刺したときの写真です。
結局中林君は無四球で、立教打線を危なげなく1点に抑えました。テンポ良くストライク先行の投球からは、最上級生になって、集大成ともなるこのシーズンにかける意気込みを感じました。
しかし、ホームは遠かった・・・。
スコアリングポジションに進むことも結構あり、5回・9回は無死12塁のチャンスをつかんだのですが・・・。
まず、バントは少々の失敗はありましたが、おおむねしっかりとしていたような気がします。
これは3回先頭の漆畑君が出塁した後の竹内君のバントですが、しっかり体の前でバントをして、うまく打球を殺しています。
ただ、ランナーをスコアリングポジションに進めた後の攻撃が・・・。
主軸の2人の見逃し方ですが、打ち気にはやる余り後ろ足に体重を乗せて待つことが出来ず、突っ込んでしまっています。
明日以降は特にチャンスの時は、2人に限らず他の選手のみなさんも前に突っ込むことなく、しっかりと後ろ足に重心を残して、球を見極めるといいのではないでしょうか。なんだかスコアリングポジションに進んだ後、浮き足立っている印象が強かったです。シートバッティングの時に、必ず2塁ベースと3塁ベースに人を立たせておくのも案外効果があるかもしれませんね。
あとそれ以上にショックだったのが、今回初めてストップウォッチを持って観戦していたのですが、塾野球部の選手たちが打った後、案外流して1塁に走っているのがわかったことです。
ヒットの時、フライの時は特にひどく、フライアウトで5.0秒、5.3秒。ヒットの時で4.5-4.7秒前後、ゴロアウトでも4.0秒-4.6秒でした。なお、一番早かった走塁が中林君で4.04秒でした・・・。
ちなみに立教は1-3番が俊足ということもあり、3.7秒-4.0秒でしばらく進んでいました。ただ彼らも後半はなぜか気が抜けてしまったらしく4.3秒くらいまで落ちていました。(個人攻撃が目的ではないので、誰とは書きません。ただ、全体的な傾向であり、選手間でそんなにばらつきはありません)
立教と比較しても、これだけ塾野球部は流して走ってしまったと言われても仕方ないデータかなと思います。
フライアウトの時ゆっくり走って、1塁ベース上で相手の守備を眺めている選手ばかりだったのが気にかかります。ヒットを打ったときもそのまま1塁で止まることを前提に流して走っているのも気にかかります。
幸運とは準備が出来ている人に舞い降りてきます。残念ながら今日の塾野球部の選手たちはフライが上がったら2塁を陥れることはあきらめ1塁上で素直に結果を待ち、ゴロを打つと半分諦めながら走ってしまっているので、幸運を受け取る準備が出来ていなかったように思えます。確率は低いかもしれませんが、インプレーである限り何が起こるかわかりません。たとえばヒットを打ったと思ったら相手の動きが緩慢だったら一気に2塁まで行けるじゃないですか。フライを落としたら一気にセカンドに行けるじゃないですか。守備交代の時ではありません。ボールがインプレーの状態の時は、がむしゃらに全力で走ることが必要だと思います。
また、戸村君はクイックがうまく、走者が出ると殆どクイックで投げ、到達時間が見事に1.1秒-1.3秒の間に収まっていたこともあってか、盗塁は1回も企てられませんでした。
つまり立教は守備の時に、塾野球部から殆どプレッシャーらしきプレッシャーを感じずにプレー出来ていたのではないでしょうか?おお打った打者が速く走ってきて内野安打になるかもしれないから、急いで投げなくては!とか、いつ走ってくるんだ?こいつらは。裏をかかれたり変化球を投げたら盗塁されてしまうとか。根が素直でまじめな性格ということもあってか、相手は今何をやられたら嫌がるとか何を狙っているとか、つまり相手に合わせて融通無碍に攻めていくといったことはせず、自分たちがこうあるべきだ!という形にこだわっているように思えます。また、1塁3塁コーチも特に走者がやってくる時以外は指示を出さず、ゼスチャーもしていませんでした。勿論走者に指示を与えていたのだと思いますが、それだけがそこの役割ではない。相手にプレッシャーを与える行動もやっていくべきだと思います。彼らもグラウンドで一緒になって戦うべきです。あと、特に1塁はエリアをはみ出した位置によく立っていたので、それも審判に注意される前に気をつけた方が良いでしょう。
更に作戦も凝った物が多かったですね。一球目は見送った後にバントとか、無死12塁で2ストライク後にヒットエンドランをかけたり。調子の良いときだとそれもありでしょうが、今みたいな状態だと混乱するだけなので、シンプルにやるべきことを決めて、その遂行に集中した方がいいように思えます。
今年の塾野球部の選手たちは、センスはあるものの、たとえば佐藤翔くんのように長打力があるわけでは無いと思います。であれば、どんな形で攻めていくのか。やはり集中打と足を絡めた攻撃で相手守備陣にプレッシャーを与え、ビッグイニングを作っていくことだと思います。
であれば、明日以降の戦いに於いて
1)とにかくインプレーの時は全力で走る。結果云々より、1塁到達がどんなに遅くとも4.5秒以内では走るべき。これが出来ない選手は替えてもいいくらいだといった姿勢で。
2)走者はとにかく相手にプレッシャーを与えることに主眼を置く。
3)打者はチャンスの時は特に、後ろ足に重心を残して、しっかりとボールを見た上でひっぱたく。
4)1塁3塁コーチも一緒になって、相手と戦う。
5)たとえば投手陣と話して、ケースごとにどんなことをされたらイヤかを聞いてみる(やっているかもしれませんね)。
6)作戦はシンプルに、打者も走者もシンプルに考え、その単純なことを遂行することに集中する。
なんてことに気を配ってみるのもいいのではないでしょうか。
得点がなかなか取れない流れを引きずり、金縛りにあったかのような塾野球部。これはなんとしても雰囲気を打破しなければいけません。明日以降の爆発に期待したいと思います。
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コメント
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素晴らしい分析、ありがとうございました。
チャンス・メークはできるのに決定力がない。
持久で四球で出るが、
チャンスのとき慎重になりすぎる。
監督も連打、長打が期待できないので、
ヒットエンドランを多用する。
折角、梶本、松尾という強打者がいるのに
守る所がないので控え。
代打も8番でしか使えないので敬遠されると、
めぐり合わせが悪くなる。
最悪、東大以外から勝つことはおろか、
1点もとれないのでは?
クリーンアップといっても、相手に与える
恐怖感がない。やはり松尾、青山、山口、
梶本といった、一発打てる打者を使うべきでは?
小野寺、湯本君は2、6番でこそ生きる。
それにしても1回の立教は見事。
特に4番の右打ちは素晴らしかった。
捕手が固定するのこしたことはないが、
打てる捕手がいない。
なぜか松尾、松本という高校時代実績のある
捕手を内野手にコンバート。
打力なら伊場と思うが使わない?
投稿: 文武両道 | 2009年4月12日 (日曜日) 00:15
いつも楽しく拝見させて頂いております。
今春は日吉の練習試合も時折観戦しておりますが、
全体的に元気がないですね。
4年生がリーダーシップをもっと発揮して
引張っていって欲しいです。
私見ですが、技術論として少し意見が異なります。
チーム全体として、バッターボックス内でかかと体重
の人が多いです。そのために外角のストレートは手が
出ませんし当たっても芯に当たりません。もっと
つま先のほうに加重して踏み込まないとこのままの
不調が続きそうです。特にクリーンアップ。
デッドボールの恐怖心との戦いでもあるのですが。
それ以上に
心の踏み込みはもっと足りないかも・・・。
明日明後日連勝して第3週の明治戦に挑みたい
ところです。久しぶりに優勝パレードが見たい
ですね。
投稿: 幻の門 | 2009年4月12日 (日曜日) 00:17
お疲れさまでした!
小生も補足で少々短評を・・・
中林くん、去年より球速上がってますね。安定してストレートが140kmを超え(143kmの球も多々あり)、しかもストライクが取れています。9回でもスピードは落ちていなかった印象です。オフの間、トレーニング頑張ったんでしょうね!!
ただ、ファールでカットされるシーンが比較的多かった気がするので、球速が出ていても打者には打ちに行きやすかったりするのでしょうか・・・配球が判り易いとか、玉の出所が・・・とか(気のせいだったらゴメンナサイ)
試合終盤まで三振が取れて無かったみたいですね。
打者はフライが多かった印象です。ボク、広岡達郎さんではないですけどフライアウト嫌いなので
ヒット4本はゴロで抜いたものばかりだったんじゃないでしょうか?
ヒットは無くとも四死球のランナーが沢山出ましたが、進塁打、右狙いは殆ど無かった印象です。
1年生のベンチ入り、連盟の発表を見て無いものと思っていましたが、なんと齊藤雄太くんが背番号を得てベンチ入りしていました!試合デビューはお預けでしたけど、目の前のグラウンドから色々学んで欲しいです。ガンバレ!
外野手、流石にサングラスをちゃんと着用していました。かつてせっかくのサングラスを帽子にかけていて落球したのが教訓になっているのかな?!
二塁手 湯本くんのゴロさばき、正面で腰を落として捕球するところ、安心して見ていられました。
スタンドの野球部員、ゴミは拾う事。靴底を前座席に掛けない事。皆見ていますよ。品が無ければ六大学は名乗れない。
来週は明東戦を見る予定です♪
またよろしくお願いします!
投稿: げんき | 2009年4月12日 (日曜日) 00:20
初めてコメントさせて頂きます。
細部にまで至る観察力はすごいと思い、
うわべ面で野球を観ている自分が恥ずかしく、
いつも勉強させて頂いています。
野球部に対しては早く、攻撃面で「きっかけ」を掴んで欲しいと私は思っています。
投稿: 神宮通い | 2009年4月12日 (日曜日) 00:37
文武両道さん
コメントありがとうございます。
さて、確かにこのままの流れだとそんな恐れすら感じてしまいますよね。確かにクリーンアップにもっと長打力のある打者を配置することも
手だと思います。
また高橋君もリード面では見るべきところのある捕手で、故に中林君も彼を指名したがるところがあるんだと思います。ただバッティングが・・・。
気持ちの持ち方なんですよね。調子が悪いばっかりに、考えが絞りきれていないところが今の結果なのかもしれません。何かのきっかけでそれを打破して欲しいですね。
投稿: 管理人 | 2009年4月12日 (日曜日) 01:33
幻の門さん
お初のコメントですね!どうもありがとうございます。お越しいただけて本当に嬉しいです。
さて、言葉足らずで申し訳ありません。最終的に打つ時は、仰るように踏み込んで前足に体重をかけることが必要です。それを「ひっぱたく」という言葉で表現したつもりだったのですが、わかりにくいですよね。
後ろ足体重は始動を始めた後、バットをトップに持っていき、そして球を呼び込んでいる時の姿勢です。自己宣伝になってしまいますが、WBCの観戦記を見ていただけると違いが出ているんじゃないかなあと思います。先に前足に体重を移してしまうと、ボールもよく見ることが出来ないし、移動距離がほとんどなくなるので、それこそ踏み込んで打てなくなってしまうんですよね・・・。
仰るように、「心の踏み込み」を思い切りよく行って、後の2戦連勝し、そのまま流れに乗ってくれればいいですね!
優勝パレード、提灯持って三田まで行きたいですね~
では、今後ともよろしくお願いします。
投稿: 管理人 | 2009年4月12日 (日曜日) 01:41
げんきさん
コメントありがとうございます。
よくいろいろ観察されていますね!湯本君の守備なんて、そうだったんだ~って手を叩きそうになりました。
バットの軌道も、ちょっとヘッドを下げてスイングすることが多かったように思えます。すくいあげるスイングではなく、ヘッドは下がらないようにして振り抜いて欲しいですね。
もしその集団が野球部だったらという仮定ですが、やはりいただけませんね。そこからして「絶対、勝つぞ!」っていう気持ちを伝えていかないと。こちらにもなんかちぐはぐさが・・・。
今季もいろいろな試合でお会いすることもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
投稿: 管理人 | 2009年4月12日 (日曜日) 01:46
神宮通いさん
お初のコメントですよね!ありがとうございました!お越しいただけて本当に嬉しいです。
さて、自分も適当に書いているだけなので、逆に掲示板等で拝見させていただく神宮通いさんの書き込みに、いつも頷かされております。
本当にきっかけなんですよね。心が固まってしまって、体まで固まってしまっているようです。そんなときは、とにかくシンプルな指示こそ効果があるように思えます。明日はシンプルな試合運びをしてほしいですね。
では、今後ともよろしくお願いします。
投稿: 管理人 | 2009年4月12日 (日曜日) 01:49
佐藤君が4打点の大活躍。
「ベンチにいても配球を観察。狙い球を絞って思い切りひっぱたく」
佐藤君のコメント、現役諸君の参考にしてください。
投の山本、打の佐藤のプロでの活躍
こちらは嬉しい!
投稿: 文武両道 | 2009年4月12日 (日曜日) 06:26
文武両道さん
コメントありがとうございます。
さて、西武の佐藤友亮選手もオリックスの山本省吾選手も活躍の知らせが聞こえてきて、嬉しいですね!
しかも二人とも苦難を乗り越えて来てくれたのが嬉しいです。
長いシーズンも始まったばかり。ますますの活躍を期待したいですね。
ところで加藤投手はどうしたのでしょうか・・・?
投稿: 管理人 | 2009年4月13日 (月曜日) 01:22