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大本営参謀の情報戦記 ~情報なき国家の悲劇 を読んで

この本はたまたまアマゾンであなたへのおすすめはこちらって送られてきた中にあげられていた本の一つです。それを読んでみたら、やはりとても興味深かった為、ちょっとご紹介してみます。

この本の作者である堀栄三さんは旧帝国陸軍・自衛隊でご活躍された方であり、情報のエキスパートとして名を馳せた方です。

この方は情報畑を歩んできた方らしく、自分を客観的に捉えようとされ、常に表記は「私はこう考えた。」ではなく、「堀はこう考えた。」といった記述の仕方です。

堀さんは陸軍大学校(軍人として士官を経験した後、更に専門的克つ指揮的な幕僚を育てる専門機関。詳しくはこちら)を昭和18年にご卒業された後、すぐに大本営陸軍部参謀として、第2部(情報部)のドイツ課-ソ連課-米英課に勤務されました。しかし彼は情報の教育を受けておらず、手探りの状態からスタートします。

しかし彼には御尊父を始め、土肥原将軍や寺本中将といった良きアドバイスをくれる人たちがいました。

御尊父(堀丈夫) 「情報は結局相手が何を考えているかを探る仕事だ。だが、そう簡単にお前たちに心の中を見せてはくれない。しかし心は見せないが、仕草は見せる。その仕草にも本物と偽物とがある。それらを十分に集めたり、点検したりして、これが相手の意中だと判断を下す。」

土肥原将軍 「戦術は難しいものではない。誰だってやっている。いまこの場面で相手に勝つには、何をするのが一番大事かを考えるのが戦術だ。そのためには枝葉末節にとらわれないで、本質を見ることだ。文字や形の奥の方には本当の哲理のようなものがある。表層の文字や形を覚えないで、その奥にある深層の本質を見ることだ。」

寺本中将 「陸大だけが人生の最終目標ではありませんぞ。陸大は一つの通過駅で、そこで何を汲み上げたかが大事なこと、そしてそれを元にしてこれから以後どう生きるかが、もっと大事なことですよ。陸大を人生の最終目標にして権力の座について、椅子の権力を自分の能力だと思い違いしている人間ほど危険なものはない」

また、フィリピンでは山下奉文将軍にも仕え、その人格に触れ、心を通じ合わせたりしてもいます。

内容については原書を読んでいただくことを強くお勧めしますが、堀さんはフィリピンにおける戦場の行動、本土上陸作戦の内容など米軍の作戦を次々と予測的中させ「マッカーサー参謀」と日米双方から言われるほどの方でした。しかしそれが有効活用されることもなく悲惨な敗戦を日本は迎えるわけです。

驚くべきことは戦場となったニューギニア、ソロモン諸島方面では正確な地図が無くてガリ版刷りの素図をもとに戦争を行った、対英米戦を始めたにも関わらず情報部の相手国の担当課、すなわち英米課が出来たのは太平洋戦争開戦約半年後という遅さだったこと、ここらから見てもいかに情報を重視していなかったかがわかります。

米軍も戦後の調査書で「日本陸軍の情報活動は対ソ戦に指向され~、真珠湾攻撃に至って、日本は初めて情報の総元締めである大本営第二部の陣容が貧弱なのに気付いた。また、第二部には特別に情報訓練を受けた者はゼロであった」と記載しています。

そして堀さんは太平洋戦争の緒戦の太平洋方面での日本の快進撃は、日本軍が強かったと言うよりは、米軍が各諸島に日本軍を分散させ、各個撃破するためだったのではと洞察しています。

他にも戦後の海軍合理的、陸軍神がかりの発想からか、悪く言われることの多い土肥原将軍にしても山下奉文将軍にしても、そして駐独武官から駐独大使となった大島浩氏(彼も本の最後の方に出てきます)も、ただ批判されるだけの人物では決して無く、むしろ人格面でも見識面でも立派な御仁もたくさんいたことが書かれており、そういった意味でも歴史というのは、複眼的な目で見る必要があるのだなあと思います。

堀さんは戦後しばらく隠遁し、百姓生活を送りますが、やがて自衛隊に入り再度情報活動に携わります。そこで戦争中とは違う、自分の責任回避に汲々とする上司がスエズ危機の際にいろいろと決心を固めない姿を見せていたことに対して、

「情報の判断には、百パーセントのデーターが集まることは不可能です。三十パーセントでも、四十パーセントでも白紙の部分は常にあります。この空白の霧の部分を、専門的な勘と、責任の感で乗り切る意外にありません!」

と言われたそうです。

巻末で堀さんはこんなことを書かれています。

「堀は「悲劇の山下兵団」と題して、某出版社向けに四百枚ほどを書き綴った。傍で見ていた父が「負けた戦を得意になって書いて銭を貰うな!」と叱った。堀が参加した比島(フィリピン)決戦だけでも、四十七万七千名が戦没している。その人たちは書くことも、喋ることも、訴えることも出来ないのだ。明治男の父の言葉にはいつも言外に大事な意味があった。」

「いまや、戦争を体験しない人たちの世代となって、当時のことを知る術が次第になくなっている。そう思うと勧めに従って書くことが必要だと感じだした。」

「情報に無知な組織(国家、軍)が、人びとにいかなる悲劇をもたらすかと情報思考の大切さを、本書中から汲み取って下されば幸いである。」

いろいろと考えさせられる言葉です。

このように軍事をからめた情報の話がこの本の主題なのですが、この情報に関する考え方は仕事面でも野球とかの戦術面でも大いに参考になるお話だなあと思ったわけです。以前の日大藤沢高野球部監督をされていた鈴木博識氏も中国の「孫子」が自分のバイブルと話されていたそうですが、いろいろな分野でのいろいろなお話が、それが一生懸命に極めようとしていればいるほど、似通ったり、通じる部分が多いものですね。これからもいろいろな分野での話に興味を持ち、より自分の幅を広げていきたいものです。

個々の事例についてはこの記事では殆ど端折ったので、この本に興味ある方は是非ご一読ください。

では、今後ともよろしくお願い致します。


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コメント

父が大本営情報参謀をしていました。
山下中将とはフィリピンで会食して人柄に魅せられたとか。

情報戦に取り組むのが遅過ぎた。
作戦が情報に先行した。
英米情報の軽視・・・・

いろいろありますが、戦後、イギリスの情報機関が
ヒアリングにこっそり来たほですから、
相当、高いレベルにあったことでしょう。

企業でも現在の自衛隊でさえ、
情報という割には、情報担当者は冷遇されています。
外務省の佐藤優さんもそうでしたが・・・

文武両道さん

コメントありがとうございます。

御尊父が大本営情報参謀をされていたとのことですので、正にこの本の堀さんと同僚だったわけですね。これはすごいことだなあと素直に思います。

情報奪取、情報分析においてはある一定の成果を上げていたように思いますが、それを生かすも殺すも実際に動く人たち。

まさに作戦が情報に先行してしまったのでしょうから、御尊父の切歯扼腕ぶりが偲ばれます。

ちょっとこれを矮小化すると、野球でも同じことが言えると思います。

無死一塁の時に何が何でもバントがうちの野球だ!としてしまったら、それはまさに作戦が先行している状態で周りの状況など関係ない。
でも相手のチームのバントシフトの精度、相手投手のフィールディング、自軍の状況を総合的に判断してバントをするのであれば、情報が作戦に先行していると言えましょう。

よく「自分たちの野球をするまでだ!」と言う台詞がありますが、自分たちの野球をするためにも相手の情報、自分たちの情報をよくよく理解した上で、作戦を決めるべきだと思います。

ちょうど土肥原将軍が言ったという「表層の文字や形を覚えないで、その奥にある深層の本質を見ること」が大事なのでしょう。

相手を読む時も当然いろいろな仕草を気にして、いわゆるクセを見破ることも必要ですが、それより「深層の本質」ということで相手チームは今点をどうやって取りたいのか、監督はどういう指向があるかということを考え、それこそ相手監督の補佐役になったつもりで考えると、より効果的な作戦がたてられるのではないでしょうか?

こうして考えると、上でご紹介したお三方の意見はそれぞれ野球にも当てはめることが出来るわけです。

そしてそれは野球だけではなく、いろいろな場面で生きてくる言葉だなあと思ったわけです。

塾野球部も練習中によく話し合い、一つ一つのプレーの意味をお互いで確認し合うそうです。ただそれを自分たちの意志だけを前提にして考えるのではなく、相手の意図・動きを加味した判断をどうやって加えるかということを意識してやると、より実践的になるのではないかと思います。

やはり物事はすべてが違い、またすべてに共通項があるのですね。

では、今後ともよろしくお願いします。

高校は全国制覇すると早くも思っています。
それほど野球脳が優れている。

大学は勝ちなれていないので、作戦、戦術、戦略が必要です。

掲示板では無理なので、ぜひ、このブログで
来春の大学の戦い方、独立自尊さんの構想を伺いたいです。

ところで丸山真男が指摘した帝国陸軍は非合理の塊でしたが、
大本営ではクラッシック音楽が流れ、欧米の新聞雑誌を自由に読み、何を考えてもよい環境だったとのこと。
ですから質の高い情報分析が可能だったのでしょう。

ただし、情報は作戦で活かさなければ・・・

文武両道さん

コメントありがとうございます。

確かに自分も塾高野球部より塾野球部の方が心配なような
気もします。
ただ、自分が塾野球部の作戦、戦術、戦略を含めた戦い方を
偉そうに言えるほどのものは無いと思います。

と言ってしまっては話が続かないのですが、ちょっと時間を
おいて純粋に外野としてのお話を書くことが出来たらいいな
あとも思っています。

大本営は今では「大本営発表」くらいしか、しかも悪い意味でしか使われていませんが、間違いなく当時の最高峰の頭脳を集めていたことも事実ですし、瀬島龍三さんのようにその後の日本の歩みに大きな影響を与えている方も多いということも事実と言えます。

そんな大本営情報部の雰囲気というか香りがするようなコメントを興味深く拝読させていただきました。ありがとうございます。

では、これからもよろしくお願い致します。

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