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多事争論 -昨今の経済情勢と政治のあり方- ってほどでもありませんが・・・

以前の記事である、「弱者報道が社会の木鐸たるマスコミの使命?」に対して、拙ブログのレギュラーコメンテーター(勝手に名付けて申し訳ございません)お二人からコメントを頂戴しました。

そして返信を打っていたのですが、どうせなら年末企画と言うことで「多事争論」で議論風も良いかなと思い、こんな記事を立ち上げてみたわけです。

さて、げんきさんは昨今の政府の経済政策、特にアジア諸国の政策についてこう考察されていました。

アジア諸国は日本も含めて景気浮揚策、雇用対策というと公共事業への投資が第一に来ますよね。 公共事業発注→建築土木市場中心→所謂日雇い労働者の雇用を創出→消費の底上げ→メーカ企業の収益回復→従業員の報酬増→消費の更なる底上げ・・・ という長期サイクルを狙ったものだと理解しています。 政府が発注元になって大きくお金を使うにはやはりコレが一番なんでしょうか・・・


まあ、大本はF.D.ルーズベルト大統領時のTVA等のニューディール政策に端を発しているように思えます。すなわち総需要が不足している時に、政府そのものが需要を創出すべきと考えるかどうかです。

小泉内閣の時に竹中さんが考えていたであろうことは、

「政府が需要を創出しようとしても限界があり、また財政状況を悪くするだけ。それよりも、総需要が減少している状況にメスを入れ、経済活動そのものの活性化をはかる」

というものでした。あのときであれば、一番のガンであった金融の不良債権問題を解決し、民間の成長を阻害するような規制を廃止し、必要な金が必要な場所に流れ、本来持っている日本の成長力を発揮させようとしたものです。

私もそちらの論を正と考えています。だからこそ政府財政が極度の赤字では社会保障が成り立たないので、規制緩和→経済成長→税収増→社会保障の充実という流れを取ろうという流れが一番大事だと思っているのです。

今は時代は逆行しています。官僚に踊らされてかどうかは知りませんが、「小泉内閣が格差社会を作り出した」「小泉内閣の規制緩和のせいで、日本が塗炭の苦労を味わっている」と言った論調も見られます。で、実際のどの政策がそれを巻き起こしたかとは言わない。経済政策と社会保障は関係性はあるものの、同じではないのです。最低でもそれは区別した上で、マスコミも報道してほしいです。小手先の現象でなく、現在の状況の根本事由を解き明かし、その処方箋をお互いに考えていきたいものです。それなりの国内需要があり、教育レベルも高く、社会インフラが整っている日本の力に我々はもっと自信を持ち、それを発揮する有効な戦略を考えていくことこそが大事だと思うのです。

ある第一次世界大戦後の政治家がこう言いました。


私は我が民族の復興が自然にできるとは約束しない。
国民自らが全力を尽くすべきだ。

自由と幸福は突然、天から降ってはこない。
すべては諸君の意志と働きにかかっている。
我々自身の国家のみが、我々自身の国民のみが頼りとなる。
我らが国民の未来は、我々自身のうちにのみ、存在するのだから。

国民自身が国民を向上させるのだ。
勤勉と決断と誇りと屈強さとによって、
我が国を興した祖先と同じ位置に上がることができる。

こんな言葉を言う政治家がどれほどいるのでしょうか?
この言葉だけを捉えれば、ただうなずくだけです。
やはり我々ひとりひとりが何かに頼るのではなく、自分たちの意志と努力で事を成し遂げない限り、悪化する状況を立て直すことは出来ないと思います。

ところが、残念ながらこの言葉を語ったのは、あの悪名高きアドルフ・ヒトラー。
こうやって国民を鼓舞しながら、世界大恐慌下で膨大な賠償金を抱えていたドイツの経済復興を成し遂げてしまったのです。この時、オートバーン(ドイツの無料高速道路)、フォルクワーゲン(国民車を作り、国民に自動車を行き渡らせる)といったニューディール政策的なこともやっていましたね。

ここに政治の何とも難しいところがあります。強い意志のもと、一致した政策をすることによってうまれる成果。独裁であるが故におかしな指向であっても通ってしまう怖さ。スピーディーな意志決定と、それの維持。そしてチェック機能がうまく働いてくれないと、機能不全を起こすか、とんでもないことになります。

前に「対立教戦のコメントに対する雑感~パニックに対しての心構え~」で、混乱している状況でのリーダーシップの大切さを書きましたが、混乱している社会情勢で強力な指導力を持っているように見える政治家に人気が集まるのはある意味当然で、実際必要であるわけですが、だからこそリーダーシップに意義を唱えるのではなく、政策そのものに検討を国民が加えられるようになってほしいですね。そうすれば文武両道さんが危惧されている、ナチス勃興期のドイツと奇妙に似通う今の日本という状況も、いい方向に流れてくれるように思えます。

次に文武両道さんが下記のように仰られました。

私は10年前、経団連の近くのシンクタンクに出向し、企業価値を研究していました。 会社に帰って報告したのはキャノンでした。愛車はトヨタ、プリンターはキャノン。 両社の製品は際立って優秀で、それゆえ、私は買い替えることが殆どなく、両社にとっては、好ましからざる顧客です。その両社が相次いで経団連会長に就任したことを喜んだ私にとって、リーマンショック以後の両社の対応は、少なからずショックでした。日本の従業員を大切にすることが、まず社是であったからです。内部留保の取り崩し、役員削減、役員報酬カット、管理職の給与カット、そのあとにやむをえなければ・・・という姿勢が見えないのは残念です。

雇用を守ることが日本の企業の経営理念核心の一つであり、特にそれを守ると言い続けてきた2社だけに残念だと仰ることもよくわかります。しかしキャノンの御手洗さんの言っていることを追ってみると、ある意味必然だったのでしょう。彼は「正規雇用者を守り、そして雇用を確保しようとしていた」のでしょう。

○「人材の流動性の低い日本では終身雇用を維持する」と公の場で家族経営の利点を御手洗社長は説いた。

○会社の経営哲学は、人間尊重主義、新家族主義、健康第一主義を打ち出していた。

○工員と職員に格差があったが、御手洗社長の伯父時代、格差を解消、全員を月給制とした。

○御手洗社長になり、ベルトコンベアー方式からセル方式に変えた。チームで多数の工程をこなす。労働者の習熟が効率の鍵だった。セルにより2万2千人が減らせた。増産により実質は1万人だった。

○御手洗は週間エコノミスト誌上で「中国には行かない、出来る限り母国でやる。失業は防ぎたかった。そこで派遣や請負の業界が出来たことで助かった。おかげで空洞化は防いだ。人が足りず1万人の派遣を雇用した」と述べた。当時製造業への派遣は禁止されていた。派遣とは請負であった。

○大分工場=大分県佐伯市は御手洗氏の出身地、ここに新工場を次々に設立、キャノンのおかげで経済効果は3,000億円に及んだ。名誉市民になった。

○大分工場はデジタルカメラ生産拠点で6,000人が働いていたが4,000人は請負。設備も全て会社側、指揮命令も会社、人員だけが請負側であり、これが偽装請負と基準監督当局は見て指導した。その後も製品の出来高で請求せず、人数と時間で請求するという初歩的ミス。これで再度指導を受けた。

派遣切りが問題になったのは、ここの工場ですね。御手洗さんは「派遣や請負の業界が出来たことで助かった」としています。今回のお話はつまり発注先への発注をストップしたという感覚であって、レイオフをしたとの発想では無いと思うのです。

それをもって

「結果雇用削減に繋がることをしてけしからん!」

と言うか、

「そもそもその制度が無ければ大分とかの国内に工場を建設するという決断は無かった。つまりそもそも国内に雇用が創出されることが無かった。だから今回の事態も仕方ない。」

と考えるかだと思います。私は日本のメーカーが多数海外に生産拠点を移している実態を考えれば、後者の考え方を採っています。

派遣労働者の方々も大変な状況だと思います。ただ「学問のすすめ」ではありませんが、

「「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人皆同じ位にして、生れながら貴賎上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの者を資り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。されども今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、おろかなる人あり、貧しきもあり、富めるものあり、貴人もあり、下人もありて、その有様雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや。その次第甚だ明らかなり。「実語教」に、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」とあり。されば賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり。」

の精神に照らし合わせた時、自分たちはどうだったのか考えるきっかけも必要だと思います。ただ、「あなた方はかわいそうだ」だけではなく。なのでこの問題を考える時、「大企業けしからん!」ではなく、こういった考え方が必要なのではないでしょうか。つまり、

1)国内の経済活動の活性化の方策

2)派遣労働者への社会保障政策として、企業成績の回復を見たら正社員化を促進することと派遣労働者自身のキャリアアップ(バウチャークーポン制度やコミニュティーカレッジ方式など)の導入を通じて、収入の安定化を図る

ことが急務だと思ってしまうわけです。

最後は前と同じ締めくくりですが、こんな報道を繰り返していると、やはり「日本は人材の流動性の無い国」で、「製造拠点を置くには不向きな国」と益々判断され、もっと産業の空洞化が進み、残る産業が第3次産業がメインの国になってしまう。すなわちこういった論点を盛んにされている方々が嫌う、アメリカそのものの就業状況になってしまいそうな気がします・・・。そうならないように、前向きな論点で展開されればいいのにと願って止みません。

お二方の文を勝手に引用して申し訳ございません。他の方々も含め、忌憚なきご意見がいただければ、ぜひコメントください。それはこの上もない喜びです。まさに「多事争論」が出来るわけですから。

長文をここまで読んでいただいた方、まとまりの無い文で申し訳ありませんでした。

では、来年も宜しくお願いします。

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多事争論」カテゴリの記事

コメント

慶応義塾大学の某教授がTOEICを頑張る、
会計士を目指すなど、「自分磨き」を語っていましたが、
早くも企業はTOEICの英語は役立たない、
企業内会計士は不要、と言っています。

TOEICで高得点をとっても、会計士の資格をとっても
早くも「資格」の意味がなくなっています。

他方、確かに私の回りの前向きの人々は、
企業が苦境になればなるほど
そのアドバイスを求めてられ忙しい、コンサルタントが
います。

その違いは何なのか?
私の見込み違いでなければ、独立さんの会社は、
私の所属していた会社に比べ、前向きに見えます。
私自身、最後の仕事が企画と名づけた安易な
リストラ策の立案であったからです。

文武両道さん

コメントありがとうございます。

「前向きな会社」、本当にそのようにありたいです。困難な状況は仕事である限り、いくらでも起こりうることです。そこにへこたれるのではなく、どうやったら次の成長が見えてくるかという観点から次の一手を打つ。そうありたいと思っています。
うちみたいな会社は、財産は人、すなわち社員さんであり、職人さんであり、協力業者さんであり、そして我々を支持していただけるお施主さん。それだけしかありません。だからこそ、人を何にも増して大切にしなければいけないものだと常日頃から考えております。
そんな関係者さんたちが、みんな笑顔で仕事に取り組む環境を作る大切さを改めて思い出さされました。

頂いたコメントの最後の段落、特に「私自身、最後の仕事が企画と名づけた安易なリストラ策の立案であったからです。」の一文に込められた、文武両道さんの思いが何だかヒシヒシと伝わってくるようでした。御尊父もそのように感じましたが、自分の出した答えに今も自問自答なさっているのでしょう。その人間そのものとしての誠実さに心が打たれます。

でも「我事において悔やまず」の精神で、それこそその「立案」の意義をご自身でそろそろ認めてあげてほしいなあと、僭越ながら思いました。文武両道さんこそが前向きになるためにも。自分の決断に対して反省はすれども、否定はしないでいただきたいなあと。

もとは野球のお話でしたが、こうやって多岐に渡ったお話にお付き合い下さり、感謝の念に堪えません。今年は本当に大変お世話になりました。また、来年もどうぞよろしくお願い致します。

寺島実郎さんが、言っていました。
自分が気付かなかったことをひとつでも
言ってくれたら、その人にもう1度、会いたくなる。

気付いてみると、あなたとの会話、
そうですね。

アダム・スミス、マックス・ヴェーバー、
ピーター・ドラッカー、澁澤栄一、敬三親子、
宮本常一(澁澤敬三の食客、「忘れられた日本人」岩波文庫)・・・「忘れられた資本主義」を思い直す
ために・・・・)

落ち着いてPCからまとめてコメントさせていただいています。
独立さんの記事は全くを持ってそのとおりだと思いますし、数々の客観引用で説得力がありますね!

我々が中学・高校生の頃は、リクルート事件や東京佐川急便事件を始めとする汚職や不正が多々報道された時期で、当時の自分は世の中に憤りそして失望していたものでした。この時、日本も清廉な独裁者が必要、こくみんの直接投票による大統領制が望ましいと妄想していたのを、独立さんの記事を見て久々に思い出しました。
更に当時の発想では、特定地域への利益誘導の排除に何故かこだわって、『選挙の立候補者は全国区=統一選挙区で争う』または『自選挙区への常時立ち入り禁止』など選挙制度に思いを巡らせていました。(これらについて実際にはTVを始めとするメディアへの露出が鍵になってしまう問題がありますね。)

日本は正直、進学率の高い国です。
高校進学で9割以上、大学等への進学でも今では5割前後あります。従って、現在の若者が単純労働や3K職場を敬遠する向きがあって然るべきですし、それらのの労働市場を外国人が占めている現状があります。
一方で、日本企業はバブル崩壊後の10年の間に極端な円高にも耐えられるような低コスト体質へ体質改善し、リストラを含むコスト削減法を身につけて生き延びてきています。その中の一策として、若くて高学歴な労働力を非正規雇用で低廉に使うことを是としてきたのだと考えられます。

ニュース映像で見た、時の首相のハローワーク訪問での一言が表すとおり、業種・職種・処遇を選ばなければ道はあるかもしれません。ですが、実際には誰しもが学歴に見合う職種と処遇を求めて狭き門に殺到しているものと想像されます。

現代は年金だけでは一人暮らしができない世の中で、そのため企業の定年延長・再雇用に始まり、シルバー人材活用が活発で、現場のパートタイマーも高齢な方が多いです。外国人も交えてますます職の奪い合いが過熱するものと思われます。

こうなったら、公共事業で臨時雇用を増やすことよりも、いっそ公務員を増員して、雇用の受け皿とした方が即効性があるのではないでしょうか?
公務員の中でなら、各個人の適性と専門性があれば先々の配置転換も可能でしょうから、やる気次第でのキャリアアップからモチベーションアップ効果も見込めると思います。これこそ税金の使い甲斐があるというものですよね!?

かなり乱暴な思いつきですが、特定業界への資金注入より公平な気がします。いかがでしょうか?

文武両道さん

あけましておめでとうございます。

さて、コメントありがとうございます。早速にも過分なるお言葉で恐縮致しますが、どんな方々との会話・やりとりでも何か発見があり、そうなるとまたお話ししてみたくなりますよね。

今年も様々な方のお話を伺いながら、一歩でも二歩でも前に進めるように頑張っていきたいと思います。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

げんきさん

あけましておめでとうございます。

さて、コメントありがとうございます。

こちらに返信としてたくさん書いていたら収拾がつかなくなりました

なので、新たに記事を立ち上げてみたので、機会ある時にでもご覧になってください。

では、今年もどうぞ宜しくお願い致します。

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